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【完全解説】給与課税の仕組み。源泉徴収と年末調整、会社と社員のメリット・デメリット

こんにちは
島村竜一です。

毎月の給与明細を見て、「所得税」や「住民税」といった項目で結構な金額が引かれていることに驚いた経験はありませんか?これらは「給与課税」と呼ばれる仕組みによるものですが、具体的にどういう計算で、何のために引かれているのか、正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。

この給与課税の中心にあるのが「源泉徴収」と「年末調整」です。

これらは、会社員のスムーズな納税をサポートするための重要な制度ですが、会社側と社員側、それぞれの立場から見ると、メリットだけでなくデメリットや負担も存在します。

この記事では、給与課税の基本的な仕組みから、源泉徴収と年末調整が会社と社員にそれぞれどのような影響を与えるのか、メリット・デメリットを両方の視点から徹底的に解説します。この記事を読めば、給与から天引きされる税金の謎が解け、ご自身の納税に対する理解が深まるはずです。

給与課税とは?所得税と住民税の仕組みをわかりやすく解説

給与課税とは、会社から支払われる給与に対して課される税金のことです。この制度は、主に国に納める「所得税」と、住んでいる自治体に納める「住民税」の2つから成り立っています。会社員の場合、これらの税金は会社が毎月の給与から天引きし、本人に代わって国や自治体に納付するのが一般的です。

所得税は、個人の1年間の所得に対して課される国税です。日本では、所得が高い人ほど高い税率が適用される「累進課税制度」が採用されており、税率は5%から45%までの7段階に分かれています。所得税額は、まず年間の給与収入から「給与所得控除」を差し引いて所得金額を算出し、さらにそこから扶養家族の状況などに応じた「所得控除」を引いて課税対象となる所得額を確定させた上で、税率を掛けて計算されます。

一方、住民税は、都道府県や市区町村といった地方自治体が提供する行政サービスの費用をまかなうための地方税です。住民税は、前年の所得に応じて課税される「所得割」と、所得にかかわらず一定額が課される「均等割」の合計で決まります。所得割の税率は原則として一律10%(都道府県民税4%、市区町村民税6%)です。

このように、所得税はその年の所得に対して課税され、住民税は前年の所得に対して課税されるという違いがあります。会社員の場合、所得税は「源泉徴収」という形で毎月の給与から概算額が天引きされ、年末に「年末調整」で正確な税額に精算されます。住民税は、前年の所得をもとに計算された税額が翌年6月から1年間にわたって給与から天引きされる「特別徴収」という方法で納めます。

会社側から見た給与課税のメリットと義務

会社(給与支払者)は、法律によって従業員の給与から所得税を徴収し、国に納付する義務を負っています。この義務を負う者を「源泉徴収義務者」と呼び、この制度全体が「源泉徴収制度」です。会社は、毎月の給与支払い時に所得税を天引きし、原則として翌月の10日までに税務署へ納付しなければなりません。

さらに、多くの会社員にとって1年間の所得税計算を完結させる「年末調整」も、会社に課された重要な義務の一つです。会社は従業員から必要な申告書や証明書類を集め、年間の正しい所得税額を計算し、すでに源泉徴収した合計額との差額を精算(還付または追加徴収)します。これらの手続きを怠ると、罰則が科される可能性もあります。

一見すると、これらの義務は会社にとって負担でしかないように思えます。しかし、この制度は国が効率的かつ確実に税収を確保するために設計されたものであり、企業がこの仕組みに協力することには社会的なメリットが存在します。

源泉徴収と年末調整の制度があることで、大多数の国民(給与所得者)の納税手続きが円滑に行われ、国の財政基盤が安定します。安定した財政は、インフラ整備や公共サービスの提供といった形で経済活動の土台となり、ひいては企業の事業活動にも間接的に良い影響を与えます。また、法令を遵守して適切に納税義務を果たすことは、企業のコンプライアンス意識の高さを示し、社会的な信用を維持する上でも不可欠と言えるでしょう。

会社が抱える給与課税のデメリットと事務負担の課題

会社にとって給与課税制度、特に年末調整は、大きな事務負担というデメリットを伴います。特に年末の繁忙期には、経理や人事担当者の業務が大幅に増加するのが実情です。この負担は、企業の規模が大きくなるほど、また従業員の状況が多様であるほど重くなります。

最大の課題は、煩雑な書類の取り扱いです。担当者は全従業員から「扶養控除等申告書」や「保険料控除申告書」といった複数の書類を回収し、記載内容に不備がないか、添付された証明書と内容が一致しているかなどを一つひとつ確認する必要があります。従業員からの問い合わせ対応や、提出が遅れている従業員への督促も大きな負担です。

次に、税額計算の複雑さが挙げられます。扶養家族の有無、生命保険料や地震保険料の支払い、住宅ローンなど、従業員一人ひとりの状況に合わせて各種控除額を算出し、年間の所得税額を正確に計算しなければなりません。この計算には専門的な知識が求められ、ミスが許されないため、担当者には大きなプレッシャーがかかります。

さらに、税制は毎年のように改正されます。控除額の変更や新しい制度の導入など、法改正に常に対応し、最新の知識を維持し続けなければなりません。計算方法や申告書の様式が変更されることもあり、これらの情報を正確にキャッチアップし、社内システムや業務フローに反映させる手間も発生します。

これらの負担を軽減するため、近年では年末調整手続きを電子化したり、給与計算システムを導入したりする企業が増えています。また、専門知識を持つ社会保険労務士や税理士といった外部の専門家に、年末調整業務そのものをアウトソーシング(外部委託)することも有効な解決策の一つです。

社員にとって給与課税はどんなメリットがあるのか

会社が納税手続きを代行してくれる源泉徴収や年末調整の制度は、社員(従業員)にとって多くのメリットがあります。税金に関する専門的な知識がなくても、自動的に納税プロセスが進むため、非常に便利な仕組みと言えるでしょう。

最大のメリットは、確定申告の手間が省けることです。本来、所得税は納税者自身が1年間の所得と税額を計算して国に申告・納税する「確定申告」が原則です。しかし、会社員の場合は会社が年末調整を行ってくれるため、ほとんどの人が自分で税務署に行って手続きをする必要がありません。これにより、時間的にも精神的にも大きな負担が軽減されます。

次に、計画的に納税できるという利点もあります。1年分の所得税を一度にまとめて支払うとなると、かなりの金額になり家計への負担が大きくなります。源泉徴収制度では、毎月の給与から少しずつ天引きされるため、納税額が平準化され、大きな出費に備える必要がありません。

また、払いすぎた税金が還付される点も大きなメリットです。毎月の源泉徴収はあくまで概算額であるため、生命保険料控除や地震保険料控除などを適用した結果、税金を払いすぎているケースが多くあります。年末調整を行うことで、この過払い分が「還付金」として12月や1月の給与と一緒に戻ってくるため、臨時収入のように感じられる人も多いでしょう。

さらに、年末調整で申告した内容は、翌年の住民税額の計算にも自動的に反映されます。自分で別途、市区町村に申告する必要はなく、所得控除などがきちんと反映された正しい住民税額が給与から天引きされることになります。このように、会社に書類を提出するだけで所得税と住民税の両方の手続きが適切に行われる点は、社員にとって非常に大きな利点です。

社員が知っておくべき給与課税のデメリット

社員にとって便利な給与課税制度ですが、いくつか知っておくべきデメリットや注意点も存在します。これらを理解していないと、本来受けられるはずの税金の優遇措置を逃してしまう可能性があります。

最も大きなデメリットは、年末調整で適用できる所得控除の種類が限られていることです。例えば、年間の医療費が高額になった場合に利用できる「医療費控除」や、ふるさと納税を含む寄附を行った際の「寄附金控除」などは、年末調整の対象外です。これらの控除を受けて税金の還付を受けたい場合は、会社での年末調整とは別に、自分で確定申告を行う必要があります。

また、住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合に受けられる「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」も、適用初年度は年末調整では手続きできず、必ず確定申告をしなければなりません(2年目以降は年末調整で対応可能)。これらの制度を知らないと、節税のチャンスを逃してしまうことになります。

手続き上の手間がかかる点も、ささやかなデメリットと言えるかもしれません。年末調整の時期になると、会社から配布される申告書に必要事項を記入し、生命保険会社などから郵送されてくる控除証明書を添付して提出する必要があります。書類の準備や記入が面倒に感じられたり、提出期限に追われたりすることもあるでしょう。

最後に、追加徴収が発生する可能性もゼロではありません。年の途中で扶養していた家族が就職して扶養から外れたり、給与が大幅に増加したりすると、毎月の源泉徴収額が本来納めるべき税額よりも少なくなることがあります。その場合、年末調整で不足分が一括して徴収されることになり、12月の手取り額が予想外に減ってしまう可能性があります。

年末調整で終わらない?会社員でも確定申告が必要なケース

多くの会社員は年末調整で納税が完了しますが、特定の条件に当てはまる場合は、個人で確定申告を行う必要があります。確定申告をしないと、ペナルティが課される場合や、逆に損をしてしまう場合がありますので、自分が該当しないか確認しておくことが重要です。

副業の所得が年間20万円を超えている場合

本業の会社以外から収入を得ている場合、その所得の種類によって対応が異なります。例えば、アルバイトやパートなど給与として収入を得ている場合は、原則として本業の会社で合算して年末調整を行います。しかし、ライター業やコンサルティング、配達業務などで得た「給与」以外の所得(事業所得や雑所得)が年間で20万円を超える場合は、確定申告が必要です。この「所得」とは、収入から必要経費を差し引いた金額のことです。

医療費控除や寄附金控除を利用したい場合

年末調整では対応できない控除を利用して、税金の還付を受けたい場合も確定申告が必要です。その代表的なものが「医療費控除」と「寄附金控除」です。1年間に支払った医療費の合計が一定額を超える場合や、ふるさと納税や認定NPO法人などに寄附をした場合に、確定申告をすることで所得税や住民税が軽減されます。ふるさと納税には「ワンストップ特例制度」があり、条件を満たせば確定申告なしで控除を受けられますが、6つ以上の自治体に寄附した場合や、医療費控除など他の理由で確定申告をする場合は、ふるさと納税分も合わせて申告する必要があります。

住宅ローン控除を初めて適用する年

住宅ローンを利用してマイホームを購入または増改築した場合、「住宅ローン控除」という大きな節税効果のある制度を利用できます。ただし、この控除の適用を受ける最初の年だけは、必ず確定申告を行わなければなりません。税務署に住宅の売買契約書の写しや借入金の年末残高証明書などを提出し、手続きを行います。2年目以降は、税務署から送られてくる証明書と金融機関の残高証明書を会社に提出すれば、年末調整で控除が受けられるようになります。

まとめ

給与課税の仕組み、特にその中核である「源泉徴収」と「年末調整」について、会社と社員それぞれの視点から解説しました。

この制度は、社員にとっては確定申告の手間を省き、計画的な納税を可能にするという大きなメリットがあります。一方で会社側は、法律上の義務として正確な税務処理を行うための事務負担を抱えています。

会社員の方にとっては、基本的には会社に任せておけば納税が完了する便利な仕組みですが、医療費控除や住宅ローン控除(初年度)など、年末調整だけでは対応できないケースがあることも重要です。自身の状況を正しく理解し、必要に応じて確定申告を行うことで、受けられるはずの税制上のメリットを最大限に活用することができます。

給与から天引きされる税金は、私たちの生活を支える社会インフラや行政サービスのために使われる大切なお金です。この記事を通じて、給与課税の仕組みへの理解を深め、ご自身の納税について改めて考えるきっかけとなれば幸いです。

ここまで読んでくださってありがとうございます。

また次のブログでお逢いしましょう。