こんにちは 島村竜一です。
この記事は、以下のような方に向けて書いています。
- 営業でつい自分が話しすぎてしまう方
- 顧客との信頼関係の築き方に悩んでいる方
- 反論や断り文句にうまく対応できず、商談が前に進まない方
- 営業成績をさらに向上させたいと考えている若手営業担当者
「営業は話術がすべて」そう思っていませんか?かつての私もそうでした。しかし、トップセールスと呼ばれる人たちの商談を分析すると、ある共通点が見えてきます。それは、彼らが話している時間は全体のわずか2割で、残りの8割は顧客の話を「聴く」ことに徹しているという事実です。
なぜ、話すことよりも聴くことの方が重要なのでしょうか。それは、顧客が本当に求めているのは、流暢な商品説明ではなく、「自分の課題を深く理解してくれるパートナー」だからです。この記事では、あなたの営業スタイルを根本から変え、成約率を劇的に向上させる「傾聴」の技術について、具体的な方法から心理学テクニックまで、余すところなく解説します。
島村竜一
目次
なぜ、トップ営業は8割の時間を「聴く」ことに使うのか
多くの営業担当者が陥りがちなのが、「自社の製品やサービスの魅力を伝えなければ」という思いから、一方的に話しすぎてしまうことです。しかし、これでは顧客の心は離れていく一方です。トップ営業が「話すのは2割、聴くのが8割」という鉄則を守るのは、聴くことには計り知れないメリットがあるからです。
最大のメリットは、顧客との間に強固な信頼関係(ラポール)を築ける点にあります。人は誰しも、自分の話を真剣に聞いてくれる相手に心を開き、信頼を寄せるものです。「この人は自分のことを理解しようとしてくれている」と感じてもらえれば、顧客は安心して本音や、まだ言語化できていない潜在的な悩みを打ち明けてくれるようになります。
また、顧客の話を深く聴くことで、表面的な要望の奥にある「真のニーズ」や「本質的な課題」を正確に把握できます。顧客自身が気づいていない問題点を発見できれば、より的確で価値のある提案が可能となり、結果として顧客満足度は飛躍的に向上します。これが、高い成約率と長期的な関係構築に繋がるのです。
顧客が思わず本音を話したくなる「傾聴」の効果とは
「傾聴」とは、単に耳で音を聞く「聞く」とは異なり、相手の話に注意深く耳を傾け、言葉の裏にある感情や意図まで深く理解しようとする「積極的な聴き方」を指します。この傾聴こそが、顧客の本音を引き出す鍵となります。
傾聴がもたらす最大の効果は、顧客に「心理的安全性」を提供できることです。「何を言っても否定されない」「真摯に受け止めてもらえる」という安心感が、顧客の口を開かせます。例えば、顧客が予算や他社製品について話し始めたとき、それを反論と捉えてすぐに切り返すのではなく、まずは最後までじっくりと聴く。この姿勢が、「この人にならもっと話しても大丈夫だ」という信頼感を生むのです。
顧客が本音を話してくれるようになると、商談は一気に深まります。「本当は〇〇に困っている」「将来的には△△を実現したい」といった、Webサイトや資料だけでは決して得られない生の情報は、競合他社との差別化を図る上で最も強力な武器となります。傾聴によって引き出された本音こそが、顧客にとっての「理想の解決策」を提案するための最高の羅針盤となるのです。
明日から実践できるアクティブリスニングの具体的な方法
理論はわかっても、実践できなければ意味がありません。ここでは、明日からの商談ですぐに使えるアクティブリスニング(積極的傾聴)の具体的なテクニックを4つ紹介します。
1.顧客の本音を引き出すオープンエンドの質問
質問には、「はい/いいえ」で答えられる「クローズドクエスチョン」と、相手が自由に答えられる「オープンエンドクエスチョン」の2種類があります。顧客の本音や詳細な情報を引き出すには、後者のオープンエンドクエスチョンが極めて有効です。
例えば、「現在のシステムに満足していますか?」と聞くのではなく、「現在のシステムについて、どのような点に課題を感じていらっしゃいますか?」と質問します。他にも、「どのような状態が理想ですか?」「その課題を解決するために、これまでどのようなことに取り組まれましたか?」といった質問は、顧客に深く考えてもらい、具体的な状況や背景を語ってもらうきっかけになります。
5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を意識して質問を組み立てることで、会話を自然に深掘りし、顧客のニーズを多角的に理解することができます。
2.言葉以上に語る非言語コミュニケーションの読み解き方
コミュニケーションにおいて、言葉が伝える情報はほんの一部に過ぎません。顧客の表情、声のトーン、話すスピード、視線、姿勢といった「非言語コミュニケーション」には、言葉以上に多くの本音が隠されています。
例えば、価格の話になった瞬間に顧客が腕を組んだら、それは警戒心や拒絶のサインかもしれません。逆に、提案内容に身を乗り出して聞いてきたら、強い関心を持っている証拠です。声のトーンが下がったり、視線をそらしたりする瞬間は、何か言いにくいことや懸念を抱えている可能性があります。
これらのサインを見逃さず、「何かご懸念な点でもございましたか?」と優しく問いかけることで、顧客が口に出せずにいた本音を引き出せる場合があります。相手の言葉だけでなく、全身に意識を向けることが、傾聴の精度を高める上で不可欠です。
3.信頼を深める共感とバックトラッキング(オウム返し)
顧客との信頼関係を深める上で強力なテクニックが、共感を示しながら相手の言葉を繰り返す「バックトラッキング(オウム返し)」です。これは、相手の発言を要約したり、キーワードを繰り返したりすることで、「あなたの話をしっかり聞いて、正しく理解していますよ」というメッセージを伝える手法です。
例えば、顧客が「最近、業務の属人化が進んでいて、担当者が休むと業務が止まってしまうのが悩みなんです」と話したとします。これに対し、「なるほど、業務の属人化によって、担当者の方が不在の際に業務が滞ってしまう点にお悩みだということですね」と返すのです。
このようにバックトラッキングを行うことで、顧客は「きちんと聞いてもらえている」という安心感を抱きます。また、自分の言葉で要約して確認することで、お互いの認識のズレを防ぐ効果もあります。重要なのは、ただ機械的に繰り返すのではなく、「大変ですよね」「それはお困りですね」といった共感の言葉を添えることです。
4.会話のリズムを作る相づちと沈黙の活用法
会話における相づちや沈黙は、単なる間ではありません。これらを戦略的に使うことで、会話のリズムをコントロールし、顧客が話しやすい雰囲気を作り出すことができます。
「はい」「ええ」といった単純な相づちだけでなく、「なるほど」「そうなんですね」「それで、どうなったのですか?」など、バリエーションを持たせることで、話への関心の高さを示すことができます。うなずきなどのジェスチャーを組み合わせるのも効果的です。
また、営業担当者が恐れがちな「沈黙」も、実は強力な武器になります。顧客が何かを言いよどんだ時、焦って次の言葉を投げかけるのではなく、数秒間じっと待ってみましょう。この「間」が、顧客に考えをまとめさせ、次の言葉を引き出すきっかけになることがあります。沈黙は気まずいものではなく、相手に思考を促すための大切な時間だと捉えましょう。
無意識に好感度を上げる心理学テクニック「ミラーリング」
ミラーリングとは、相手の仕草や姿勢、話し方などを鏡のようにさりげなく真似ることで、相手に無意識のレベルで親近感や好感を抱かせる心理学テクニックです。「同調効果」とも呼ばれ、ラポール形成に非常に有効です。
例えば、顧客がコーヒーを飲んだら、自分も少し間を置いてから飲む。顧客が身振り手振りを交えて話すタイプなら、自分も少しジェスチャーを大きくしてみる。相手がゆっくりとした口調で話すなら、自分も話すスピードを合わせる。このように、動作や声のトーンを相手に合わせることで、「自分と似ている」「波長が合う」と感じてもらいやすくなります。
ただし、ミラーリングで最も重要なのは「さりげなさ」です。露骨に真似をすると、相手に不快感や不信感を与えかねません。あくまで自然に行うことを心がけ、いくつかの動作の中から一つだけを取り入れるなど、相手に気づかれない範囲で実践することが成功の秘訣です。
顧客の反論をチャンスに変える「聴く」切り返し術
営業活動において、顧客からの反論や断り文句は避けて通れません。「価格が高い」「今は必要ない」「他社で決めている」といった言葉に、心が折れそうになることもあるでしょう。しかし、トップ営業はこれらの反論を「商談を深める絶好のチャンス」と捉えます。ここでも鍵となるのは「聴く」姿勢です。
顧客の反論は、単なる拒絶ではなく、何らかの懸念や疑問が隠されたサインであることが多いのです。頭ごなしに「そんなことはありません」と否定するのではなく、まずは反論の背景にある本音を「聴く」ことから始めましょう。
5.まずは受け止めるクッション言葉の活用例
顧客からの反論に対して、いきなり自社の主張をぶつけるのは悪手です。まずは、「そう思われるのですね」「率直なご意見ありがとうございます」といった言葉で、相手の意見を一度受け止める姿勢を見せましょう。
このような、本題に入る前に挟む言葉を「クッション言葉」と言います。クッション言葉を使うことで、相手に与える印象を和らげ、「話を聞いてくれる人だ」という安心感を与えることができます。
- 反論を受け止める時: 「さようでございますか」「おっしゃる通りですね」
- 質問をしたい時: 「差し支えなければ、もう少し詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか」
- お願いをする時: 「大変恐縮ですが、〇〇についてご確認いただけますでしょうか」
これらの言葉を挟むだけで、コミュニケーションは格段にスムーズになります。
肯定から入るイエスバット法の使い方と注意点
クッション言葉で相手の意見を受け止めた後に有効なのが、「イエスバット法」です。これは、一度相手の意見を「Yes(その通りですね)」と肯定した上で、「But(しかし)」と自社の意見や提案を伝える話法です。
顧客: 「この商品は、少し価格が高いですね。」
営業: 「おっしゃる通りです(Yes)。初期費用だけを見ると、決して安い価格ではないかもしれません。しかし(But)、この製品を導入することで、長期的には人件費を年間〇〇万円削減できるというデータが出ており、1年で投資回収が可能になります。」
このように、一度肯定することで相手の心理的な抵抗を和らげ、その後の提案を聞き入れてもらいやすくなります。ただし、「しかし」という言葉は使い方によって否定的な印象を強めてしまう可能性もあります。近年では、「そして(And)」を使う「イエスアンド法」も注目されています。「おっしゃる通り高く感じられるかもしれません。そして、その価格に見合うだけの〇〇という価値がございます」のように、肯定的な流れで話を繋げるテクニックです。
隠れたニーズを探る質問の投げかけ方
反論を受け止め、イエスバット法で切り返しても、顧客の懸念が払拭できない場合もあります。その際は、反論の裏に隠された「本当の理由」を探るための質問を投げかけることが重要です。
例えば、「価格が高い」という反論の裏には、「予算が足りない」だけでなく、「価格に見合う価値を感じられない」「費用対効果がわからない」「決裁者を説得する材料がない」など、様々な理由が考えられます。
そこで、以下のような質問で深掘りします。
- 「どのような点から、価格が高いと感じられましたか?」
- 「ちなみに、ご予算はどのくらいでお考えでしたでしょうか?」
- 「もし価格の問題がクリアできれば、導入をご検討いただくことは可能でしょうか?」
このように、反論をきっかけに対話を深めることで、顧客が本当に懸念しているポイントを特定し、的確な解決策を提示することができるのです。
まとめ
今回は、営業の成約率を劇的に変える「聴く」技術について解説しました。
- トップ営業は話すのが2割、聴くのが8割。 聴くことで信頼関係を築き、顧客の真のニーズを把握できる。
- 傾聴は顧客に「心理的安全性」を与え、本音を引き出す。
- 具体的な傾聴テクニックとして、オープンエンドの質問、非言語コミュニケーションの読解、バックトラッキング、相づちと沈黙の活用がある。
- ミラーリングを使えば、無意識レベルで顧客からの好感度を上げられる。
- 反論はチャンス。 クッション言葉やイエスバット法で相手の意見を受け止め、質問によって隠れたニーズを探ることが重要。
営業は「話術」ではなく「聴術」です。あなたが話すのをやめ、顧客の話に真剣に耳を傾けた瞬間から、商談の質は大きく変わります。明日から、まずは商談の時間のうち、自分が話す時間を意識的に減らすことから始めてみてください。顧客の反応がこれまでと全く違うことに、きっと驚くはずです。
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仕事の生産性をあげるためさまざまな方法を試しました。その結果UiPathにたどり着き現在UiPathを使った業務効率化の開発、講師の仕事をしています。
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